3.11
東日本大震災から10年が経った。震災で犠牲になった方々に改めて哀悼の意を表したい。また、今なお避難生活を送る方の生活がいち早く取り戻せることを切に願っている。
自分は当時東京にいて、震度5弱の揺れを体験した。また、水道管の破裂やスーパーから様々な食品がなくなるといった混乱、交通網のマヒを目の当たりにした。こうした経験から、大震災は他人事には感じていないつもりだった。
仙台に引っ越してきて、この気持ちは覆った。建物の基礎だけが残された光景を見て、津波の威力を知るのはもちろんのことだが、沿岸部の道路や町全体がきわめて「新しい」ことに、被害の深刻さ、その後の復興の道のりに心を動かされた。また、震災当時宮城県や福島県にいた方々の震災への思いを目の当たりにし、自分は「震災を経験している」とはとても思えなくなった。
仙台にいると、日常のふとしたタイミングで震災を意識することがある。友人と話しているとき、車を走らせているとき、授業中、SNSやテレビを見ているときに、当時を振り返るきっかけがあり、東京にいたときより格段に震災について考えることが増えた。仙台で医師を目指して勉強する意味を考えずにはおれない。
同じ体験をしていないから、東北の方々と同じ感度で震災を思うことはできないかもしれないが、震災への理解を深めたい。東北に暮らす者として、きわめて重要なことだと考えている。仙台に来る前、福島市で活動をしていた頃から気持ちは変わっていないが、改めて決意を固くした。
11年目が始まる。