和声を学ぶ

コンサート会場に行くと、出演者のCDなどが販売されている。最近そこで、もう一歩踏み込んで音楽を学びたい人たちに向け、楽典の教科書が並べられているのを見た。
確かに、楽典の知識がなければ、譜面を読むことはできないだろう。しかし、楽典を学べば、音楽への理解が深まるのかと言われると、疑問に感じる。

楽典は、譜面の書かれ方や記号の意味、調性、和音などを扱った理論だ。これらの知識は、音楽をする上では欠かせない。例えるならば、ひらがなやカタカナだ。日本語を話すためには、そもそも文字が読めなければ、何も始まらない。

では何を学べば、音楽のより深い理解につながるのか。方法は無限にあるとは思うが、そのひとつの方法として、和声学を提案したい。
和声学は、和音構成音の配置や和音同士の繋げ方などを扱う学問である。いわば、音楽における文法だ。

調性音楽では、和音を適切に並べていくことで緊張と緩和を生み、音楽を前進させていく。この和音の並べ方には、ルールがある。和声学の視点を身に付けると、和音の並び方に秩序があり、どこに重みがあり、作曲家がどこに力を入れているかがみえてくる。

楽典を学べば譜面が読めるようになり、和声を学べば音楽が読めるようになる。また、感情・感覚だけに頼った音楽に、理論的な裏付けを加えると、より説得力のある音楽になるはずだ。楽典の内容は概ね分かってる方は、次に和声学を学んでみてはいかがだろうか?

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